大工道具に生きる / 香川 量平
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               奉  上手置棟帆天負神御中主神寺門榮永久吉祥  彦狭知神      奉  上手置棟帆天負神御中主神宮榮永久吉祥  彦狭知神   罔象女神工匠何、何某敬白  五帝龍神罔象女神工匠何、何某敬白  五帝龍神罔象女神工匠何、何某敬白  五帝龍神罔象女神工匠何、何某敬白  五帝龍神奉上棟祭神家門榮久守護奉上棟大元尊神家門長久榮昌守護所(一)宮社造営の棟札(二)寺門永久吉祥の棟札(三)俗家の棟札棟札(三縁寺の資料より)(四)俗家の略々の棟札125氷の軒に雪の桁、雨の棟木に露の葦草」と火伏の呪の歌も書く。「屋船久久能知神」とは木の神で、屋船の屋とは「舎」を意味し、船は「おおね」と呼び、家を永遠に支え守る神である。また、「屋船豊受姫神」とは草の祖で「草野姫」とも「野ずち」とも呼ぶ、この女神は屋根の葦草を司る。「手置帆負神」と「彦狭知神」は工匠と技士の神である。また、産土神とは、その土地を守護する神である。「五帝龍神」と「罔象女神」は共に水神で火伏の神である。「天目一箇神」は鍛冶の神である。出来上った棟札は奉書で表面を開きて包み紅白の水引をかける。そして上棟式の祭壇に祀る。これが讃岐に伝えられた棟札の仕様である。 棟札は建物の造営、修理などの年時と施主、大工などを記録して、後年に伝えるものであるが、古い棟札によって近年、建物の歴史を解明する貴重な資料として重要視されている。(削ろう会会報68号 2013.12.16発行)

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