大工道具に生きる / 香川 量平
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窓鋸(手曲り鋸改良刃/三木金物資料館蔵)前挽大鋸を使う武藤勇氏著者所有の前挽大鋸(玉鋼製)53(10)鴨かもいひきのこ居挽鋸/片刃、縦挽、四寸から五寸が普通。両刃畔挽の出現で激減した。鴨居の溝の加工や、柱の背割などに使う大型(六寸から七寸)のものは「心挽」あるいは「胴割」ともいわれる。(11)挽ひきまわ廻し鋸のこ/片刃、横挽、六寸から尺が普通。廻し挽の一種。板材に曲線を持った貫通部を加工するのに使う。引いて使う。(12)突つきまわ廻し鋸のこ/片刃、横挽、六寸から八寸が普通。廻し挽の一種。挽廻し鋸と同じ機能を持つ。押して使う。(13)欄らんまひきのこ間挽鋸/片刃、横挽、三寸から五寸が普通。挽廻しの極小型で歯も細かい。精密な加工に使う。(14)底そこまわ廻し鋸のこ/片刃、横挽、六寸から九寸が普通。桶屋用の廻し挽鋸で先端が櫛型になっている。小鋸として便利なため、一般用としても使われる。(15)押おさえ挽ひきのこ鋸/片刃、横挽、五寸から六寸が普通。歯は細く、鋸身も薄い。鉋台の押え溝の両側を挽くのに使う。杣道具・鋸(1)手てまが曲り鋸のこ/片刃、横挽、伐木用の鋸。土佐型と天王寺型とがあり、普通単に手曲り鋸というときは、土佐型をさす。土佐型は尺二寸から二尺八寸、天王寺型は尺五寸から二尺五寸が普通。天王寺型は土佐型より巾広のものをいう。土佐型の頭が角になったものを祇園型ということもある。(2)手てまが曲り鋸のこかいりょうば改良刃/片刃、横挽、尺五寸から二尺五寸が普通。目型を改良して「オガ屑」を鋸の動きに従って引き出しやすくした鋸。(3)腰こしのこ鋸/片刃、横挽、尺から尺六寸が普通。土佐手曲り鋸の小型。細巾のものをいう。枝伐りや炭挽に使う。(4)雁がんどうのこ頭鋸/片刃、横挽、尺五寸から二尺が普通。頭の形で「丸雁頭」と「角雁頭」とに分けられる。普通単に雁頭鋸というときは丸雁頭をさす。伐木用の鋸。(5)台だいぎ切り/三尺五寸から五尺五寸が普通。原木を一定の長さの横挽に使う。二人が向き合って引き合うようにして使う。(6)前まえびきのこ挽鋸/片刃、縦挽、刃渡り尺八寸から二尺、鋸巾尺四寸から尺八寸が普通。古い時代のものほど角型で巾が狭く、時代が降るにつれて背が丸く、巾が広くなる。材木を縦に挽いて板材や角材を作るときに使う。 以上、竹中大工道具館収蔵品目録第一号鋸篇(1989年6月)9・10頁に所載の各種鋸の解説による。(削ろう会会報30号 2004.06.15発行)

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